WEBデザイナーなら当たり前にやっている!『遠近法の切り抜きツール』を使って被写体を正面から撮ったようにする方法
写真などを撮っていて、本当は真正面から、もしくは真俯瞰で撮りたかった…ということはありませんか?
ポスターや、看板…人の多いところに設置されているものは特に中々難しいですよね。
真俯瞰のつもりでも、撮ったその場は真っ直ぐ見下ろしているつもりだったのに、データを確認してみたらあれ…?ということ、あったりします。
あとは建築物などのとても大きい物、そういう時は必然的に見上げることになり、上に向かって小さくなるように写ります。
でもそういうものを調整、補正したいと思っても、あおり撮影や補正に関する知識なんてプロのカメラマン、WEBデザイナー、レタッチャーなど、よほど多くの商業用の写真を多く見ている人くらいではないでしょうか。
ネットショップで利用する小さい画像くらいなら自社で撮って調整してしまう、といった会社だと中々そこまで…ということもあると思います。
『でももし簡単に出来て見栄えが良くなるなら、それにこしたことないんだけどな~』
という人のために!
今回ご紹介するのは『遠近法の切り抜きツール』です。
これの便利な所、それはなんといっても『簡単』で『早く』て『特別な知識があまり要らない』こと。
Photoshopで画像サイズを変えたり、切り抜いたりする方法はいくつかあります。
水平が取れていない写真を全体的に調整する方法は以前ご紹介しましたし、切り抜きは他にもご紹介しています。
様々なツールで選択範囲を作ったり、数値を指定して切り抜いたり、実際には切り抜かずにマスクで処理したり…切り抜き後の利用方法によって様々なツールや方法を使い分けられます。
今回ご紹介する『遠近法の切り抜きツール』は、本来であればある程度知識が必要な『パース(遠近感)のついた写真の補正』という作業を
とても簡単に、かつ直感的に使えるのでPhotoshopや写真に詳しくない人でも作業が簡単スピーディーに行えます。
1枚1枚そんなに手間と時間はかけてられない…という人は知っていて損はしないはずです。
まず、実際にどんなことが出来るのかの例をお見せします。
目次
WEBデザイナーが使うPhotoshopの『遠近法の切り抜きツール』ってこんなツール!
こちらにビルの写真があります。
プロの建築写真を撮る人間であれば、撮影時にあおり撮影、もしくは後から現像やPhotoshopで歪みをとる処理を行うことも多いです、が。
肉眼で見るのと同じで、普通のカメラに標準レンズを付けて撮ったら基本的に上に向かって小さくなるのは避けられないことです。
少々離れたところでビルに対して人間の目線の高さが全く違うのでどうしようもありません。
しかし、専門的知識があまりなくても簡単に処理できるようにしてくれるのが『遠近法の切り抜きツール』
実際に処理したものがこちらです。
元の写真に比べてビルそれぞれがまっすぐになっているのがおわかり頂けるかと思います。
マンションの広告等でたまにこういう写真を見かけると思いますが、これくらいはWEBデザイナーでも気づいて修正しています。
今はあえてパースをつけてダイナミックに見せるものも多いですが、建築写真はこういうあおり補正をかけた写真も多いです。
もう一つ例として、この電話ボックスの『TELEPHONE』という文字。
これを本当は真正面から撮りたかったと仮定します。
どうみてもこれは斜めですよね。
もちろん撮った写真を後から回転することは出来ません。
しかし、この文字だけを真正面から見たように補正して切り抜くことは可能です。
ほぼ真正面から見た状態に出来ました。
斜めに撮ってしまった看板やポスター、商品に書かれたブランドのロゴを抽出したい時や
資料として撮ったプリントされたものをまっすぐにしたい時にとても効果的です。
実際に『遠近法の切り抜きツール』で切り抜いてみよう
では、例をご覧頂いたところで実際の作業はどのように行うのかご紹介します。
簡単作業!基本的に使うのは『遠近法の切り抜きツール』だけ。
文字の書かれたメッセージカードがあります。
この写真は意図的に斜めにしていると思いますが、本当は真正面から撮りたかったと仮定します。
『遠近法の切り抜きツール』はツールパネルの切り抜きツールが集まっているこの中にあります。
切り抜く範囲を設定する方法は2種類あります。
- 基準となる被写体の四隅を順にクリックしていき四隅の角を決定する。
- 切り抜きツールのように基準となる一つ目の角から対角線上の角までドラッグ、その後もう二つのポイントをそれぞれ適切な場所へドラッグして四隅の角を決定する。
この2種類です。『遠近法の切り抜きツール』は通常作れる選択範囲からでは出来ません。
どちらがわかりやすいかは本人の感覚だと思います。
どちらの方法でやっても結果は同じなので、自分のやりやすい方法を選んで頂ければと思います。
選択するとこのようになります。
グリッドを表示させておくと合わせやすくおすすめです。
文字や画像などの情報量が多い場合や、四隅が確実にはっきりしている場合はなくてもいい時がありますので
その時はつけたり消したりして確認してみてください。
選択した状態で右上のメニューバーのあたりにある丸をクリックするか
エンターキーを押すと、切り抜きが確定されます。
すると
さきほどまで斜めになっていたメッセージカードが真正面から見たようになりました。
HAPPY BIRTHDAY の文字が水平になり読みやすくなりましたね。
このように四隅の角を設定するだけで水平垂直に揃えてくれるのがこの『遠近法の切り抜きツール』です。
WEBデザイナーがたまに使っている画像作成手法【実際の仕事でも使える応用編】
先ほどの四隅がわかりやすいメッセージカードで方法はおわかり頂けるかと思います。
では応用編として、これが書類だった場合。
反対側から撮ってるのもあって読み取りにくいですよね。
これをご説明した『遠近法の切り抜きツール』使って、同じような手順で補正してみます。
まず作業しやすいように180°回転。
書類の端が切れてしまっていますが、見えている紙の端を基準として同じように四隅を決めていきます。
わかる範囲でガイド線を引くと、さらにやりやすいかもしれません。
このように、カンバス外にもポイントを置くことが出来ます。
このまま確定してみると
最初に比べて相当見やすくなったのではないでしょうか。
切れていてデータの無いところは、背景色として設定している白で補填されています。
資料として撮っておいたけど見にくい…という時に大いに役立ちます。
応用は利くけど注意が必要
1つ注意したい点は、今回ご紹介したメッセージカードや書類などの写真のようにパースがついて奥に向かってピントがあわなくなっている場合です。
切り直しても画面全体にピントが合うようになる、ということはありません。
(実際、どちらも端が少しボケています。)
なので出来る限りパンフォーカス(被写体全体にピントがあっている状態)に近い写真がオススメです。
あとは、斜めに撮った建物を正面から見たようにしようとした場合も、凹凸がある場合、物理的な違和感が生じます。
たとえばこの写真の窓をまっすぐにしようとすると
一見、綺麗に四角が揃っていますが、本来はむかって左から撮っているため、窓のヘリが左右で見え方が違います。
結論として、ある程度ピントが被写体に合っている状態の平面のものだとうまくいきやすいです。
記録写真や、旅行先で調整し直したいものがある場合はピントの幅を広げた上で、少し余白を広めに取って撮影しておくことをオススメします。
余白を少し広めに取るのは、先ほどの書類のように切れてしまうことを防ぐためです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
作業自体はとても簡単に、すぐ出来ます。
写真として仕上げる場合にここまでガラッと印象を変えることは少ないかもしれませんが
たとえば、WEBデザイナーさんでも写真の中の一部分だけを切り取って別の場所にはめこみたい時やタブレットなどの画面だけを切り抜きたい時なども便利です。
レタッチ作業の中で毎回毎回使うようなツールではありませんが
いざ欲しい時に知らないと不便、手間、時間がかかる
いざ欲しい時に知っていると便利、簡単、時短できる
というのが『遠近法の切り抜きツール』かな、と思います。
色んなことに応用できるかと思いますので、参考になれば幸いです。