料理の写真は今や雑誌や広告だけじゃなく、SNS等を利用していれば見ない日はないと思います。
一眼レフのようなカメラを持ち歩いてるわけではなくても、スマホのカメラで料理の写真を撮っている人はたくさんいると思います。
日々沢山投稿される写真の中でも、たくさん見られているものはやはりどれを見てもとてもおいしそうです。
難しいようですが、要点を抑えていればぐっとおいしそうに見せることができます。
料理は特に、レタッチ以前の撮り方もかなり重要な要素ではないかと思いますので
今回はレタッチだけでなく、撮る時にも少し参考になるようなことをご紹介出来ればと思います!
食べ物の写真を自然においしそうにレタッチする工程
今回説明に使用していく写真はこちらです。
かつとじをメインとし、副菜等々が配置してある定食の写真です。
このままでも十分自然においしそうなのですが、更にパッと見ておいしそう!と感じるものに仕上げていきます。
食べ物写真レタッチの基本ポイント
まず、料理写真において撮影、レタッチ全般の基本として押さえておくとよいポイントがあります。
- 全体的に明るく
- メリハリをつける
- 彩度を高めに
- (シズル感)
素材や伝えたい印象、料理のジャンルによっても変わってくるとは思うのですが
大体このポイントを基本として押さえていれば、おいしくなさそうな印象にはならないと思います。 上記のポイントをふまえて必要なレタッチを考え、作業していきます。
シズル感に関しては強調もしますが、基本的に撮影時に意識が必要かと思います。
撮影によっては合成用素材を撮ったり、3DCGで作ったりという場合もあります。 では実際の作業に入っていきます。
明るさ調整
まずは明るさ。
少し暗い印象があるので、レベル補正(またはトーンカーブ)で全体的に明るさをあげていきます。
この時注意したいのは、明るくする前からお米の一部がすでに色情報がなくなるほど飛んでしまっていることです。
なので、マスクをかけてお米の所だけはそのままの明るさにしておきます。
今回は最初から明るすぎる写真を使っていますが、お米は真っ白で水分もあり反射しやすく飛びやすいので気を付けましょう。
コントラスト調整
次にメリハリ(コントラスト)。
今回の写真だと特に揚げ物、ということでカラッと揚がっている印象や、揚げたてのつや感が必要です。
なので、カツ周辺、特に衣のコントラストをあげることでハイライトや衣のパン粉のディテールを強調していきます。
次に、黒っぽい食器類の明るさを落とすことで黒を締めていきます。
(赤色で示されているところが明るさを落とし黒締めるところです。)
黒がある程度しっかり締まっていることで、写真にメリハリがつきより安定した印象になります。
彩度(色)調整
次に彩度(色)です。
まず、カツ周辺の彩度を整えていきます。
色が沈み気味の状態よりも、ある程度鮮やかな色調は温かい印象を与え、食欲引き立てよりおいしそうに見えます。
とはいえ、彩度を上げ過ぎても非現実的すぎて違和感があるので、ほどよいところを探します。
完了したら次に、カツ以外を調整していきます。
ちょっとした差に見えるかもしれませんが、緑は特に転びやすい色であるため、少し彩度と合わせて色相をいじってより理想の緑に近づけます。
人参は少し黄色に寄ってしまっているので、オレンジ色になるよう調整。
玉子は少し黄色を強調するように彩度を調整。 ここまでの作業、すべてマスクをかけて目的の素材にのみ影響するようにしています。
こういう時のマスクのかけかたのコツとしては、『完璧な選択範囲』を作ろうと思わないことです。
ブラシである程度ざっくりと必要な場所周辺を選択するようにしています。
何故かというと、光が当たった場所から光が反射する際に、隣り合うものに色も明るさも多少なりと反映するからです。
どちらかの色が反射しているのに、はっきりとした境目を作って色を調整してしまうと不自然な印象になる場合があります。
今回の料理なんかは玉子でとじられているので、尚のこと境目が不明瞭になっているはずです。
もちろんレタッチするものにもよるので一概には言えませんが、今回のように境目が不明瞭、かつ鮮やかにするものは特に不都合が起きないようにあえてふわっと選択範囲を作ります。
最後に微調整
最後に、これは第三者からの指示や、気になったらなのですが
このように衣が綺麗についていないところやいびつなところなどを修整します。
凹んでいるよりも他の所と同じようにある程度均等に衣が揃っている方が見た目がよく感じます。 基本的な修整はこれで完了、あとは他の料理などの調整も同様に行います。
撮影の時点でメインがはっきりしていることが多いとはいえ
他のものに視線が誘導されることがないよう(メインより目立つことがないよう)気を付けます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
最終的に出来立てを表現するため、少し湯気を足しました。(所謂
シズル感の一つです。)
基本的には料理写真は、明るく、彩度高めに、寄って撮る、がおいしそうに撮るコツです。
被写界深度を浅くし、前後がボケていることも見せたい対象に視線を誘導するのにとても有効な方法です。
せっかくのおいしかった料理、ただ撮る(記録として残す)だけでなく、実際自分が生で見て感じたおいしそう!という印象や感情を写真に表せたら嬉しいですよね。
撮影時も今回ご紹介したポイントを少し意識するだけでかわると思いますので、参考になれば幸いです。