Photoshopで簡単にジオラマ風の写真を作れるぼかしフィルター『チルトシフト』
『チルトシフト』
この名称自体あまり聞いたことがないかもしれません。
元々この名称自体はとある機能を持ったレンズ、及びその機能のことを指します。
とは言っても、アオリ撮影が必要になるようなものを撮っているプロのカメラマンか、ある程度写真を勉強したひとでないとそのレンズ自体見たことも聞いたこともない人が殆どだと思います。
(カメラを勉強したい方で、本来はどんなことに利用するのか興味のある方は『アオリ撮影』等で検索してみてください。)
Photoshop上の機能として簡単に言うと、対象を決めてその前後をぼかすことが出来る機能です。
最近、スマホのアプリ等でもこの名称(もしくは加工の結果が同じ効果のもの)を見かけるようになりました。
普通の風景や街並みの写真を、まるでミニチュアで出来たジオラマを撮ったような写真に見せることが出来ます。 これがその処理を行ったものです。
まるでミニチュアの家やオモチャを撮ったように見えるのではないでしょうか。
ちなみに元の写真はこちらになります。 元々はほぼ全体的にピントがあっているように感じる、人間の視界に近い写真でした。
最初の処理済を見てから見ると、オモチャのようにも見えるし普通の写真にも見えるし不思議な感覚になると思います。
目次
『被写界深度』からイメージする距離感から起こる『錯覚』
どうしてこんなに印象が違って見えるのか。 ピントが合っているように見える幅を『被写界深度』と呼び、それは写真の印象に大きく影響します。 たとえば、指を目の前に持ってきてそれを見つめると、指と同じ距離にあるもの以外はボケていると思います。認識するのは難しいかもしれませんが。 逆に、遠くのもの、街や風景を眺めると全体的にピントが合って見えると思います。 それと同じように、写真を撮っていたら、距離が近かったり、小さい物に寄って撮るとよく後ろや前がボケるなぁという経験はあるのではないでしょうか。 (もちろんレンズの焦点距離や絞りなども影響しますが、基本的な傾向の話です。) 疑似的にそのボケを作ることによって、その経験やイメージから『こういう状況だと小さいはず…』という錯覚する効果を与えられます。なので不思議な写真に仕上がるのです。 ちなみに先ほど説明した通り、距離が離れているもの、大きく広いものはボケにくいので、風景や建物の写真のほうがボケにくいです。(ボケにくいだけで実際にはもちろんピントは関係あります。) なので通常のカメラ、レンズでは出来ない(起きにくい)のですが レンズ自体にその機能が備わっており、上記で説明したようなことが実際に行えるのが『チルトシフトレンズ』等と呼ばれます。 ちなみに大判カメラなどではそもそも基本の撮影機材一式の中に蛇腹が含まれていて、アオリ撮影はレンズに関係なく行えます。 (昔のドラマや映画で出てくる、写真館のカメラマン等がカメラの後ろで布をかぶってシャッターを切っている大きなカメラ、あれが大判カメラです。) では、実際にどのような作業をしたのか説明していきます。 ちょっとしたポイントを押さえれば簡単にジオラマ風の写真に出来ます。 SNSや、ブログのちょっとしたイメージ画像にもオススメなので試してみて頂ければと思います。チルトシフトをメインに、5つのポイントとコツ
ポイント1『斜俯瞰』
今回使うのはこちらの写真です。 建物や家が密集した町の写真ですね。 1つ目のポイント 『斜俯瞰の写真』 斜俯瞰というと難しく見えますが、要するに斜め上から見下ろしてる写真がいいということです。 何故かというと、目の前にミニチュアがあったら大抵の人は見下ろしていることがほとんどのはずだからです。 じゃあ真上からがいいのかというと、大抵の場合真上から撮ると遠近感が無くなりボケを作る部分がなくなってしまいます。(何かが特別突出していてそれを際立たせたいなら別ですが) 結果的に少し上から斜めに見下ろして前後のある斜俯瞰の写真が一番想像も作業もしやすいと思います。ポイント2『ぼかす位置』
2つ目のポイント 『ぼかす位置を決めるために基準とする対象を決めること』 これが前すぎても後ろすぎても違和感があります。 それはなぜかというと、大抵の場合見たり撮ったりするときってある程度これ、と決めますよね。(無意識の範疇かもしれませんが) 基本的には大体中心部付近にフォーカスを当てることが多いです。 (これと決めて見る時は大抵それを視界の中心で捉えている方がほとんどだと思います。) そして、前後にボケるものがあるほうが、空間も演出出来るのでおすすめは中心部付近かな、と思います。 周辺に不要なものが多すぎる場合は、その対象をわかりやすくするためトリミングするのも1つの手です。 今回は画像のマークを付けたあたりにピントを合わせるイメージで作業していきます。 『フィルター』→『ぼかし』→『チルトシフト』 と開くと、このような画面になります。- 真ん中の丸付近からグレーの実線の間が通常のまま。(ボケない)
- グレーの実線からグレーの破線の間が徐々にボケていく範囲。
- グレーの破線から外側はぼかしの影響を完全に受ける範囲。