Photoshopで簡単にジオラマ風の写真を作れるぼかしフィルター『チルトシフト』



目次
『被写界深度』からイメージする距離感から起こる『錯覚』
どうしてこんなに印象が違って見えるのか。 ピントが合っているように見える幅を『被写界深度』と呼び、それは写真の印象に大きく影響します。 たとえば、指を目の前に持ってきてそれを見つめると、指と同じ距離にあるもの以外はボケていると思います。認識するのは難しいかもしれませんが。 逆に、遠くのもの、街や風景を眺めると全体的にピントが合って見えると思います。 それと同じように、写真を撮っていたら、距離が近かったり、小さい物に寄って撮るとよく後ろや前がボケるなぁという経験はあるのではないでしょうか。 (もちろんレンズの焦点距離や絞りなども影響しますが、基本的な傾向の話です。) 疑似的にそのボケを作ることによって、その経験やイメージから『こういう状況だと小さいはず…』という錯覚する効果を与えられます。なので不思議な写真に仕上がるのです。 ちなみに先ほど説明した通り、距離が離れているもの、大きく広いものはボケにくいので、風景や建物の写真のほうがボケにくいです。(ボケにくいだけで実際にはもちろんピントは関係あります。) なので通常のカメラ、レンズでは出来ない(起きにくい)のですが レンズ自体にその機能が備わっており、上記で説明したようなことが実際に行えるのが『チルトシフトレンズ』等と呼ばれます。 ちなみに大判カメラなどではそもそも基本の撮影機材一式の中に蛇腹が含まれていて、アオリ撮影はレンズに関係なく行えます。 (昔のドラマや映画で出てくる、写真館のカメラマン等がカメラの後ろで布をかぶってシャッターを切っている大きなカメラ、あれが大判カメラです。) では、実際にどのような作業をしたのか説明していきます。 ちょっとしたポイントを押さえれば簡単にジオラマ風の写真に出来ます。 SNSや、ブログのちょっとしたイメージ画像にもオススメなので試してみて頂ければと思います。チルトシフトをメインに、5つのポイントとコツ
ポイント1『斜俯瞰』
今回使うのはこちらの写真です。
ポイント2『ぼかす位置』
2つ目のポイント 『ぼかす位置を決めるために基準とする対象を決めること』 これが前すぎても後ろすぎても違和感があります。 それはなぜかというと、大抵の場合見たり撮ったりするときってある程度これ、と決めますよね。(無意識の範疇かもしれませんが) 基本的には大体中心部付近にフォーカスを当てることが多いです。 (これと決めて見る時は大抵それを視界の中心で捉えている方がほとんどだと思います。) そして、前後にボケるものがあるほうが、空間も演出出来るのでおすすめは中心部付近かな、と思います。 周辺に不要なものが多すぎる場合は、その対象をわかりやすくするためトリミングするのも1つの手です。


- 真ん中の丸付近からグレーの実線の間が通常のまま。(ボケない)
- グレーの実線からグレーの破線の間が徐々にボケていく範囲。
- グレーの破線から外側はぼかしの影響を完全に受ける範囲。


ポイント3『レンズのようなボケ感を演出』
3つ目のポイント 『ボケてるところの明るさの最大値を上げてレンズのようなボケ感を強める』 やらなくても問題はありませんが、この作業をするとただぼかしただけじゃなくレンズのようなボケ感が増します。 先ほどチルトシフトをかけたレイヤーをコピーします。

ポイント4『明るく、鮮やかに』
4つ目のポイント 『明度と彩度をしっかり上げて明るく鮮やかな写真にする』 とても簡単に言えば全体的に明るい印象にします。 明るい色にすることで非現実感が生まれ、日常的な写真からガラッと雰囲気を変えられます。 まず、トーンカーブかレベル補正で明るさを上げていきます。 写真にもよりますが、結構中間部も含めて明るい印象のほうがそれらしくなります。

ポイント5『あえての作り物感』
5つ目のポイント 『描写をあえて甘くして作り物感を出す』 これもやらなくても問題はないし、あえてやらなくてもいい場合もあるのですが こういうごちゃごちゃしている建物の写真はやってみるといい効果になる場合があります。 先ほども出てきた『明るさの最大値』を使います。 レイヤーをコピーして、また明るさの最大値を開きます。 今度は大きなボケを作りたいわけではなく、細かな描写を減らしたいだけなので 細かに写っている建築物が少しぼやっとさせるだけで大丈夫なので、小さい数値でかけていきます。



まとめ
いかがでしたでしょうか。 今回はチルトシフトをメインにカメラの話も若干したのでチルトシフトから始めましたが わかりやすければもちろん明るさや彩度の調整からはじめても大丈夫です。 更に、調整するレイヤーを『スマートオブジェクト』にしておけばフィルターでも後から再調整出来て便利です。 見た目はかなり変化の大きいレタッチなので、賛否はあると思います。 が、この効果自体は現実にレンズで可能なことで、それをPhotoshopで再現しているにすぎません。 出来るなら撮影の時点でしたほうがいい、という意見もあると思いますが、趣味として撮影を楽しんでいるくらいの人ならば特殊なレンズを買い揃えても利用する場が限られるのは容易に想像できるので あとから補正出来るのであればその方が合理的ではないか、と思います。 最近はプロの現場でも色々な面で考えて、あとから現像やレタッチで歪みやアオリの対応をすることはあります。 ちなみにぼかしの機能ではガウスぼかしが有名ですが ガウスぼかしではだめなのか?という疑問もあると思います。