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時計などの写真の金属感を強調する3つのポイントと加工方法

時計などの写真の金属感を強調する3つのポイントと加工方法

広告写真では、広告という性質上『誇張表現』がよくされます。
人間は視覚からの情報に多くを頼っているので、まず最初に目に入りやすい写真や絵などはかなり重要で
商品、サービスをよりよく見せ、人々に興味・関心を持ってもらわなければいけない役割があります。
料理の撮影などで主によく聞く『シズル感』などは有名ではないでしょうか。

例えば、冷えた飲み物をコップに注いだ時に、より冷えておいしそうに見せるために水滴をつけたり、
鉄板で焼いた料理の時に焼きたて熱々を表現するためにたくさん油がはねるようにしたり
煙を足したりするなどのレタッチです。

食欲をそそるような臨場感のある瑞々しさなど、パッと見た瞬間に強く伝わる演出は必要不可欠です。
その商品がどれだけよくても、実際に手に取ったりその場に訪れてもらわなければ意味がないのです。

食べ物と同じように、金属にもシズル感が必要

それと似たもので『金属』というものは撮影の時点からかなり難しいものになります。
殆どが反射率の高いものであるため、商品への写り込みや黒締め、
ライティングのコントロールも難しく、プロでも簡単ではありません。

レタッチも同様で、細かく調整する部分も多いため難しい部類に入ると思います。
ですが、アクセサリーや食器、スマホや電気製品など…金属や反射物は身近な商品にもよくあります。
とりあえず自社で簡単に…という程度でも、意外と関わる機会はあるのではないでしょうか。

言葉にするとなんとなくイメージは出来るけど意外と難しい金属…。
ですが、いくつかポイントを押さえるだけで簡単に『金属感を強調』することが出来ます。
今回はそのポイントと方法をご紹介していきます!

金属感を強調するレタッチのポイントと方法

実際の作業をしつつ、順にご紹介します。
今回はこちらの腕時計の写真を使用していきます。


要素が多く、撮影自体が物撮りのカメラマンでも簡単なものではないと思います。

ポイント1:ハイライトとシャドウを強調してコントラストを強めに

今のままでもハイライト部とシャドウ部があるのですが、金属なのでもう少し光沢感のメリハリが欲しいところです。
撮影の時点でハイライトの一部が飛んでしまっていたり、バックが黒のためシャドウが落ちすぎている部分がありますが
あえて無理に戻したり、落ちている部分をあげたりはせず誇張表現として活かしていきます。

まず、腕時計だけの選択範囲を作ります。
方法は選択できれば何でもかまいませんが、今回はこの後どのような利用方法になるかわからないので切り抜けるように。
それと、境界線がわかりにくいところがあるためパスで選択範囲を作りました。

レベル補正でシャドウのスライダーを右へ、ハイライトのスライダーを左へ動かしました。
黒がしまり、明るい部分も強調されたことでコントラストが付きました。
それとプラス、中間調も少しあげたため、全体的に明るくなっています。
これだけでも先ほどより金属のキラッとした反射が増したような気がします。

ポイント2:被写体に合わせて金属らしい色を強調

色は印象に大きな影響を与えます。
たとえば、赤等の暖色系だと熱そう、青等の寒色系だと冷たそう…など。元々色の持つイメージというものがあります。
金属もわかりやすいもので言えば金、銀、銅はそれぞれ色が違うと思います。
それだけでなく、金属等は反射率が高く、写り込みもとてもするので周りの物や光の色が顕著に影響してしまいます。
今回の写真も、恐らく定常光の色が影響してベルトの部分などが特に色が乗っています。
そういう印象を与えたいイメージ写真ならよいのですが、こんな色ではない…とシビアに要求されることもあります。

実際は実物を見ながら色を確認して色合わせ等をしていくのですが
今回はわかりやすく、硬く冷たい金属のイメージにするために、シルバー(ほぼ無彩色)にしたいと思います。


先ほど作った時計の選択範囲を利用し、色相・彩度で色を抜いていきます。
まずレッド系を選択、彩度のスライダーを動かし0にします。これで赤系の色が抜けました。


なぜ全体の彩度を落とさないかというと、文字盤が完全な無彩色ではなく、少し黄系が乗っている印象があったので、とりあえず赤色だけを抜きました。
当然、ベルトあたりにもまだ黄色が残っているので、必要があればベルト部分は完全に色を抜いてしまうのもよいと思います。
もちろん、最初からベルト、文字盤付近の選択範囲を別に作っておいて、それぞれ個別に修整するのが一番綺麗です。
細かいことは必要ない、という場合にはマスターの彩度を0にし、ベルト部分をすべて無彩色にしてしまってもかまいません。

ポイント3:ハイパスでエッジをシャープに

金属で大事なのが色でも出てきた「硬そう」という印象です。
商品そのものもそうですが、ハイライトが強く反射しキラッとしていることや、素材感がシャープに出ていることも大事です。
そのために、『ハイパス』という機能を使ってエッジを強調するシャープをかけていきます。
ハイパスというのは、その効果だけだとよくわからないかもしれませんが
利用法としては、被写体の輪郭を検出、抽出してくれるので、それを利用して輪郭やエッジを強調(シャープをかける)といった感じです。
まず、元のレイヤーを複製。


『フィルター』→『その他』→『ハイパス』をクリックします。


するとこのような感じになると思います。
適正な数値は作業しないとわからないと思いますので、とりあえず大きめの数値をかけてみてあとから調節で問題ありません。
とりあえず適当な数値でOKをクリックします。今回は5ピクセルにしました。
その後、レイヤーの描画モードを『オーバーレイ』に変えてみます。すると


このように強いシャープがかかりました。


比べると差は歴然かと思います。
物の輪郭や、ハイライト、文字盤の文字もはっきりとシャープになりました。
この時点でシャープすぎ、ハイパスが強すぎて違和感がある場合は
・レイヤーの不透明度を下げて調整
・元々のハイパスのかける量を変える
・オーバーレイからソフトライトに変える
等の対応で調整出来るかと思いますので、自分の思う適切なシャープ感が得られるまで調整します。

上記が済んだ全体がこのようになります。


元々の写真よりもメリハリのある、金属感の強調された腕時計になりました。

実際には、この作業にプラス、文字盤や針、ついているパーツなどを一つ一つ調整したり、ゴミ取り、写り込みの処理などを行います。
完成したものがこちらになります。


最後に切り抜きを利用し背景を完全に黒にして、よりクールな印象にしました。
広告で見かけるような雰囲気になったのではないかと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
こういう写真はいくつかの目的のライト別に分けて撮影、合成するということも多いので
実際の行程通りというわけではないですが、今回ご紹介した

  • ポイント1:ハイライトとシャドウを強調してコントラストを強めに
  • ポイント2:被写体に合わせて金属らしい色を強調
  • ポイント3:ハイパスでエッジをシャープに

この3点をある程度押さえていれば、撮ったままよりもグッと質が上がると思います。
参考になれば幸いです。

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